福岡県出身。1981年宝塚歌劇団に入団、入団2年目で月組娘役トップとなる。85年退団以降も、数多くの映画、ドラマ、CM、舞台に出演し、『嫌な女』(16)で監督デビュー。『化身』(86) では第10回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。『失楽園』(97)では第21回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞、第10回日刊スポーツ映画大賞主演女優賞、第22回報知映画賞最優秀主演女優賞と数々の賞を受賞。その他の代表作は『仄暗い水の底から』(02)、『阿修羅のごとく』(03)、『東京タワー』(05)、『ウタヒメ~彼女たちのスモーク・オン・ザ・ウォーター~』(12)、『箱入り息子の恋』(13)、『弥生、三月~君を愛した30年~』(20)など。また、エッセイや絵本の翻訳など、執筆活動も行い、著書『母の言い訳』では日本文芸大賞エッセイ賞を受賞。
【Interview】
主人公が本の中の「架空の物語世界」へと入ってしまう。これはきっと、『不思議の国のアリス』みたいな感覚なんだろうなあとイメージしました。ですからあまり「時代劇」であることを意識せず、わりと自由に描かせていただきました。監修の先生方も基本的な約束事は押さえつつ、「誰も『源氏物語』の世界も平安時代も見たことがないのだから」と言ってくださったことは心強かったです。
現代のネガティブ男子・雷役の伊藤健太郎くんは、シーンによっては自主的に減量されたそうで、それをあとで知り、嬉しかったです。演技的にも申し分なく、偽りの陰陽師・雷鳴ではなく、等身大の雷として自分の人生を迷いながらも歩こうとするこのキャラクターにしっかりと寄り添ってくれました。即興演出にも応えてくれ、例えば倫子との出会いの場面、泣きじゃくる倫子役の伊藤沙莉ちゃんがあまりにも可愛く、それで脚本にはなかったのですが「涙が溢れたらキスをして」と健太郎くんに指示を出しました。その後の倫子の表情、リアクションが本当にリアルでした。ちなみに、雷が倫子の前でスピッツの『チェリー』を口ずさむシーンは、脚本作りの時に「現代の曲を平安時代に歌うのは面白いのでは」と私が提案しました。選曲は脚本家の多和田さんのアイディアで、ピッタリだったので感動しました。
今回の映画美術のこだわりとしてはまず、屋根のない宮中のセットにしようと。これは2018年、名古屋の徳川美術館で開催された『源氏物語の世界―王朝の恋物語―』で国宝の「源氏物語絵巻」を見たことが大きく、絵巻に描かれた宮中って屋根がないじゃないですか。それで思い立ち、さらに金色に輝く絵巻の世界観を出すために庭には、黄土色のパウチを敷き詰めました。衣装、十二単衣に関しては京都へ勉強に行きまして、袷(あわせ)というのは季節や着る人によって多種多様なのですけど、とどのつまりは作り手の美的センスに委ねられると。単に色のグラデーションだけではなく、人物が登場する年代ごとに色合わせを綿密にやりました。とりわけ弘徽殿女御役の三吉彩花さんはカツラも着物もとても似合い、その美しさに見とれました。そしてその渾身の演技で、画期的なキャラクターに命を吹き込んでくれました。
原作者の内館牧子さんは女性の理想像を、この『十二単衣を着た悪魔』だけではなく、他の小説でもよく書いてらっしゃるんです。その中でも従来とは別視点で捉えた弘徽殿女御のキャラクターは、最高峰ではないでしょうか。「女性の品格、ここにあり」というのを打ち出していて、その考えに私は大いに共感しました。「こんな大人の女性になりたい、近づきたいな」と内館さんの本を読んで思ったんです。“ 監督業の魅力”というのはまだ分からないのですが、目の前に面白くて素晴らしい原作があり、もっと広く伝えたいのであればそれを映像という形にする。そうしてお客様に観てもらって元気になっていただく。これは女優業にも当てはまるのですけれど、監督としての役目の時も同じ気持ちでいます。監督であれ女優であれ、それこそが「エンターテインメントの仕事」なのだと私は思っています。
脚本家・小説家。秋田市生まれ。武蔵野美術大学卒業後、三菱重工業入社。13年半のOL生活を経て、87年に脚本家デビュー。主な作品に、ドラマ「クリスマス・イヴ」「想い出にかわるまで」(TBS)、「ひらり」(NHK朝の連続テレビ小説)、「都合のいい女」(フジテレビ)、「毛利元就」(NHK大河ドラマ)、「週末婚」(TBS)、「年下の男」(TBS)、「エイジハラスメント」(テレビ朝日)など。映画化された『終わった人』をはじめ小説、エッセイなど多数の著書がある。93年、第一回橋田寿賀子賞受賞。06年、東北大学大学院文学研究科修士課程を修了。
中学校からの同級生で結成された4人組ロックバンドOKAMOTO’S。2010年、日本人男子としては最年少の若さでアメリカ・テキサス州で開催された音楽フェス「SxSW2010」に出演。19年1月には10周年イヤーの幕開けを飾るフルアルバム「BOY」をリリース。全国20か所21公演を廻る全国ツアーを行い、6月27日(木)のファイナルは初の日本武道館公演を敢行し大成功を収める。20年4月には、初のベストアルバム「10’S BEST」をリリースし、8月にはフジテレビ“ノイタミナ”「富豪刑事 Balance:UNLIMITED」エンディング・テーマ「Welcome My Friend」を含むEPをリリースするなど、ますます加速を続け精力的に活動を続けている。
東京都生まれ。駒澤短期大学卒業。10年程の会社員生活の後、脚本を学び始める。2011年第4回WOWOWシナリオ大賞優秀賞受賞。12年同局ドラマ『向田邦子 イノセント・きんぎょの夢』および『同・三角波』でデビュー。宮本輝の同名小説を映画化した人生と魂の再生を描いた『草原の椅子』(13)、北川恵海の人気小説を映画化したヒューマンドラマ『ちょっと今から仕事やめてくる』(17)で脚本を担当する。
作曲家、編曲家。これまでに大林宣彦監督作品に数多く携わるほか、NHK連続テレビ小説「瞳」(08)やドラマ「花より男子」(05、07)、アニメ「ちはやふる」(11)「パズドラクロス」(16、17)などの音楽を担当するほかに宮本亜門氏演出のミュージカル「太平洋序曲」(02)、「スウィーニー・トッド」(07)などで音楽監督も務めている。現在、洗足学園音楽大学教授、東京音楽大学客員教授。一般社団法人日本作編曲家協会(JCAA)理事。
東儀家は奈良時代から今日まで1300年間雅楽を世襲してきた楽家。高校卒業後、宮内庁楽部に入る。宮内庁楽部在籍中は篳篥(ひちりき)を主に、琵琶、太鼓類、歌、舞、チェロを担当。デビューアルバム「東儀秀樹」(96)で脚光を浴び、以後次々とアルバムをリリース。「TOGISM2」(00)で日本レコード大賞企画賞を受賞。同年「雅楽」以降9度にわたり、ゴールドディスク大賞 純邦楽・アルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞している。12月より「SixUnlimited コンサート~オールスターの企て~」全国ツアーを予定している。