MOVIE

INTRODUCTION

現代のフリーターが突然『源氏物語』の世界で陰陽師に!?
異世界トリップエンターテインメント!!
自信を失ったネガティブ男子が、『源氏物語』の世界の中へタイムスリップ!
美しき最強ヒロインに出会い、次第に変わっていく・・・!

原作は『十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞』(幻冬舎文庫)。
無数の名作傑作を生みだしてきた脚本家・小説家の内館牧子の手によるもので、ヒントとなったのは映画『プラダを着た悪魔』(06)の、メリル・ストリープが演じたファッション誌の辣腕編集長だ。つまりはイメージを重ねられた『源氏物語』のヒールキャラ、ヒステリックな悪女の代名詞“弘徽殿女御”が実は早すぎたキャリアウーマンであった、という斬新な見立て。この美しき最強のヒロインが、現代ネガティブ男子を徐々に変えてゆく──。監督を手がけたのは、日本を代表する女優であり、『嫌な女』(16)以来4年ぶり、長編2作目となる黒木瞳。2012年の初版時から原作を愛読し、長年の映画化への思いを見事昇華させた。

何でもできる優秀な弟に対し、引け目を感じて大いに悩み、『源氏物語』の世界の“住人”になってからも悪戦苦闘する青年・伊藤 雷に扮したのは若手実力派俳優の筆頭格、主演の伊藤健太郎。映画としては本作が初の時代劇となる。妥協や忖度を一切しない弘徽殿女御や運命の女性“倫子”と出会い、自分の存在価値を見つめ直し、少しずつ成長してゆく姿が胸を打つ。ブレずに信念を貫く、弘徽殿女御のカリスマ的なキャラクターを体現したのは、こちらも出演作が相次ぐ三吉彩花。「カワイイ女はバカでもなれる。しかし怖い女になるには能力がいる」「能書きはいらぬ。男は能力を形にして示せ!」など、彼女の歯切れの良いセリフの数々は〈弘徽殿語録〉としてまとめたいほど。社会が求める“女らしさ”の枠をブチ破る発言と実行力は、世代を超えて多くの観客を惹きつけるはずだ。

また、雷の妻となる可憐な“倫子”には伊藤健太郎と再共演、若きユーティリティプレイヤーとして引く手あまたの伊藤沙莉が配され、他にも田中偉登、沖門和玖、細田佳央太、戸田菜穂、ラサール石井、伊勢谷友介、山村紅葉、笹野高史、さらにはLiLiCoやEXIT兼近大樹など個性豊かな豪華キャストが集結。平安時代の優美なセット、煌びやかな十二単衣も目に鮮やかで、スタッフワークも充実!音楽・山下康介、雅楽監修に東儀秀樹、そして主題歌にはOKAMOTO’Sが「History」を書き下ろして、この新感覚の異世界人生シミュレーション映画との“コラボレーション”を果たしている。

※「十二単」が一般的な名称ですが、本資料ではすべて「十二単衣」と表記しております

STORY

「超一流の弟に、一段低い二流の兄貴か……」
伊藤 雷は思わずそう呟いた。彼は日雇いのバイトで「『源氏物語』と疾患展」の設営に参加、イベント会場に流れる『源氏物語』の登場人物紹介で「デキた弟・二宮」と「後塵を拝した長男・一宮」の関係を知り、シンパシーを抱いたのだった。なぜならば、同じく弟は頭脳明晰かつ眉目秀麗で、かたや自分は現在、就職試験59連敗中のフリーターの身。かねてからのコンプレックスを一層こじらせている日々なのである。

バイト後、恋人と顔を合わせたのだが何とフラれてしまい、おまけに帰宅途中、近所の知り合いから弟が京大医学部へ合格したことを教えられて、卑屈さはMAXに! 祝賀会が開かれる実家に帰るのはバツが悪く、バイトの土産でも らった手提げ袋を持ったまま、家の周囲をアテもなくうろつく始末。

その心の内と同期するように、空には雷鳴がとどろき、激しい雨に見舞われると、雷はバイト先でも目撃した不思議な光に吸い込まれて、気を失った……やがて目覚めて驚いた。どういうわけかそこは1000年以上も前の平安時代、女流作家・紫式部によって書かれたあの『源氏物語』の世界であったのだ!!

タイムスリップしてしまった雷は当然、不審者と見なされ、烏帽子をつけ袴を履いた家臣たちに牢へと閉じ込められた。思いも寄らぬことばかりでパニくったが、手提げ袋に入っていた『源氏物語』のあらすじ本のおかげで大まかな世界観を把握、口から出まかせで陰陽師・伊藤雷鳴を名乗り、さらにはこれもバイトの土産だった頭痛薬が皇妃に効いて、後宮でまんまと陰陽師として重用されることになる。

皇妃の名は、弘徽殿女御。彼女は現代のキャリアウーマン顔負けの逞しいハートと冷静な分析力で、「一宮」である息子を帝にしようと野心に燃えていた。皇位を争うのは一流の男、「二宮」こと異母弟の光源氏だ。雷は自分の境遇を「一宮」と重ねつつ、辣腕で悪魔的に強き女性、“弘徽殿”に翻弄されながらも次第に触発され、運命を共にしようと決心する─。